おしっこしていただきました

98歳の生田さん、こちらは大腿骨骨折のために入院しておられましたが、これはしばらく前の傷であるし、お年からして手術はしないほうがよかろうと、とりあえず炎症反応がなくなり熱が引いた時点で退院となりました。

このくらいの年のお年寄りが一週間入院すると、ほとんど歩けなくなって寝たきりになり、食事も流動食しか受け付けなくなります。

生田さんも例外ではなく、それまでリビングで好きなパズルを一日中やっていらしたのですが、いまではベッドから離れることは滅多にありません。

夕食時見回り中、ナースコールが鳴りました。

ユニットの介護者はそれぞれ食事介助で手が離せません。

私が部屋に行くと「おしっこがしたい」とのこと。とてもじゃない、私一人では抱え上げられないし、痛がって移乗もできません。「おむつの中にしておいてください」と介護者の声が遠くでしています。

頭のクリアな方が、おむつの中におしっこをするのは耐え難いものがあるでしょう。

 しかたがない! 尿器を持ってきておむつを外し一物を摑ませていただいて尿器の中に差し入れました。 

まだでない、そうか、子どもの時と同じだ! 

「ご自分で握ってください」 私はおなかを擦ります。「出よるごたる」 ゆっくりと滴り出ています。

とりあえず「よかった、よかった」。