カミングアウト

 コロナの緊急事態宣言下で行われた平和の祭典であるオリンピック、賛否はともかく無事に終了したことに胸をなでおろしたのは私だけではないでしょう。死闘を繰り広げたアスリートのみなさんが最後は握手を交わし、一様に大会を支えられた関係の方々に感謝の言葉を述べられたのも好感が持てました。

 明くる9日は長崎原爆記念日でした。私はちょうど「ケアタウン茶山」から「特養歴史の里」へ向かう車の運転中でしたので、ラジオで慰霊祭の模様を聞きました。なかでも92歳の岡信子さんが体験された被爆直後のすさまじい光景を語られたときは、数十年前同じく長崎で被爆した私の母が全く同じ光景を語っていたことを思い出し胸にこみあげるものがあり、しばし車を路肩に止めて自分の気持ちを静めなければなりませんでした。

 岡さんはこれまで沈黙してきたけれど、「今、伝えなければ」と数年前から語り部の活動を始められたそうです。この「ケアタウン茶山」にも被爆手帳を持っていらっしゃる方が何人かおられます。みなさんも大変な思いをされたのだろうとお察しするとともに、私も被爆二世であることに思いをいたし、「私は何のために今ここにあるのだろう」と、考えさせられたこの一週間でした。